自律 autonomy

自律とは、個々の意思決定を、他者からの束縛や干渉を受けることなく、自らの価値観に基づいて決定し行動することであり、そのことに対して自分自身で責任を負うことが含まれる。自律的な行動は、適切な情報、ある行動をとった場合の損失と利益に関する理解、決断を下す能力、そして自発性をもち合わせていなければならない。強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意思に反して行動に介入・干渉するというパターナリズム(paternalism)は、自律の反対の意味の用語として用いられる。
専門職として機能する条件の一つとして、また看護実践にとって重要な倫理原則の一つとして自律性が挙げられる。専門職の自律性とは、外部のコントロールを受けることなく、行為を選択する自由さがあり、規範に従った職業上の意思決定専門職自らが行うことである。
また、看護職は、健康に生きる権利を有する人々の健康回復、維持、増進へ寄与してこそ、専門職であるといえる。そのため、専門的知識・技術を用いて、患者中心の医療の中で変わりゆく社会のニーズに応え、他職種と協働して自律的な新しい役割を担っていくことが期待されている。
参考文献
1)Linda M. Gorman, Marcia L. Raines, Donna F. Sultan(著)/池田明子, 荒井良直,橋本ゴンティエルミ(訳):心理社会的援助の看護マニュアル―看護診断および看護介入の実際,医学書院, p.54,1999.
2)Eliot Freidson(著)/進藤雄三、宝月誠(訳):医療と専門家支配,恒星社厚生閣,1992.