行動変容 behavior modification

行動変容とは、学習理論、認知行動療法、保健行動モデルなど、心理学の原理と実験的知見から導きだされた理論に基づき、望ましい行動を導き、不適切な行動を修正することを目指す方法論である。修正しようとする行動および目標とする行動を具体的にかつ客観的に捉え、その行動に影響を与える要因を特定し、これらの行動および要因に働きかけて、望ましい行動の獲得を図る。行動変容には、行動に先立つ働きかけ(先行刺激)と行動に伴う働きかけ(強化刺激)があり、これらに働きかける方法や行動変容をステージとして捉えて働きかける方法が論じられている。
重要な看護援助の一つに、行動に変化をもたらす働きかけがある。そのため、看護職は、行動変容への動機づけを高める働きかけや、望ましい行動あるいは不適切な行動がもたらす結果について情報提供したり、具体的に行動や技術を教えたり、ロールモデルの導入などを行っている。あるいは、家族や友人からの励まし、保健医療専門者からの保証などを活用して望ましい行動を強化することも行っている。しかし、それを行う上で、最も重要なことは、相手の立場で行動に伴う価値観や、その人がおかれている状況を踏まえて考えていく姿勢であり、自己効力感やコントロール感を獲得し、自信をもって行動変容できるように支援することである。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会,1995.
2)宗像恒次 (著) : 最新行動科学からみた健康と病気, メヂカルフレンド社, 1996.
3)R.G.Miltenberger(著)/園山繁樹, 野呂文行, 渡部匡隆, 他 (訳):行動変容法入門,二瓶社,2006.
4)B.H. Marcus, L. H.Forsyth(著)/下光輝一, 岡浩一朗, 中村好男(監訳):行動科学を活かした身体活動・運動支援―活動的なライフスタイルへの動機付け,大修館書店,2006.