清潔 cleanliness

清潔とは、一般的に汚れがなく、衛生的であるそのさまを意味する。看護においては、全身の皮膚、毛髪、爪などの汚れを取り去り、保護することである個人の身体衛生と、人の皮膚を含むすべての物体の表面に病原微生物が付着していない状態である感染管理の2つの側面をもつ。
身体衛生の側面では、個人の生活習慣に基づく衛生観念および文化的背景が大きく影響を及ぼす。よって、医学的な清潔の必要性基準とは一致しないものであり、その行動化においても個人差が大きい。清潔を保持するためには、入浴、シャワー浴、沐浴、清拭、歯磨きなど、部位や目的に応じて様々な方法がある。身体の汚れを除去する以外にも、爽快感をもたらす、血液循環を促す、生活習慣を維持するなどの点から、身体的・心理的・社会的に必要不可欠である。また、このような個人の身体の衛生を保持することは、皮膚や粘膜から、病原微生物が体内に侵入し、増殖することを防ぐ非特異的防御機構の役割を果たしていることから、感染から個人を守る上でも重要である。一方、感染管理の側面においては細菌学的および衛生学的な意味で用いられ、清潔と対置概念である不潔の境界線は環境的なゾーニング、また数値的な基準においてより明確に示されている。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会,p.17, 1995.
2)川口孝泰, 佐藤蓉子, 宮腰由紀子,他 (著):リンクで学ぶ看護基本技術ナビゲーション―清潔の援助技術,中央法規出版,2003.
3)Patricia A. Potter, Anne Griffin Perry(著)/井部俊子(監):看護学名著シリーズ ポッター&ペリー看護の基礎―実践に不可欠な知識と技術, エルゼビア・ジャパン, 2007.
4)深井喜代子(監):ケア技術のエビデンス―実践へのフィードバックで活かす, へるす出版, 2006.