死 death

死とは、生命活動が不可逆的に止まることであり、医学的には、心停止、呼吸停止、瞳孔散大・対光反射の消失の3徴候をもって医師により死亡と判定される。
救命医療の発達により、さらに脳死という概念が生まれ、日本では脳死とは臓器移植法(1997年)により「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した状態」と定義され、判定基準がつくられている。臓器提供する場合には、脳死は人の死であることが前提とされるが、現在のところ、脳死=人の死とする社会的合意にまでは至っていない。
また、人間の死の定義および死生観は文化圏、宗教、時代、学問分野などにより様々である。それと同時に、死をどのような立場から論ずるかによっても捉え方や意味が異なってくる。平山は三人称としての死(脳死判定基準などで論じられるモノとしての死)、二人称としての死(「われ」と「なんじ」の関係性において捉える死)、一人称としての死(自分の死)ではその性質が全く異なると述べている。いずれにしても、死は不安や恐怖と密接に結びつきタブー視されてきたが、現在においては病名告知が積極的に行われるようになり、日常的にも死について語ることがオープン化されてきている。
看護では人々の健康増進・維持・回復とともに安らかな死への援助も重要な課題とされ、ターミナルケアやホスピスケアの領域がある。
参考文献
1)平山正実:死生学とはなにか,日本評論社,1991.
2)日本死の臨床研究会(編):死とむきあうための12章,人間と歴史社,1999.
3)Elisabeth K¨ubler‐Ross(著)/鈴木晶(訳):死ぬ瞬間-死とその過程について,中央公論新社,2001.