意思決定 decision-making

意思決定とは、問題解決や目的・目標の達成のために、その方向性や手段に関して、複数の選択肢の中からどれか一つを選択し決定することである。意思決定は、因果関係を判断し、将来を予測し、価値や好みに基づいて評価して選択するという高度な認知活動である。
意思決定のプロセスは、問題と状況の把握、目的・目標の設定、選択肢の模索、その選択肢がもたらす結果についての予測、予測結果の評価に基づいて選択、決定することからなる。人は純粋に個人の意思だけに従って決定してはいない。前例や慣習、同調圧力(社会的圧力)などの影響を受けている。また、組織や集団の意思決定は、個人の意思決定よりも優れたものになる可能性がある半面、状況によってはアイデアや適切な判断が圧殺され、個人の意思決定よりも劣ることがある。
健康課題を抱えている人は、治療、疾患管理の方法、日常生活の過ごし方など、様々な意思決定が求められている。看護職者は看護の対象となる人々の意思決定を支える重要な役割があり、患者の権利を擁護しつつ、意思決定を支えていくことが求められている。患者が直面する健康課題が生に関わるような深刻な場合には、認知・感情レベルは低下し、建設的な意思決定が困難であるので、患者の意思決定能力を判断しつつ、支援していくことが重要である。

参考文献
1)林政孝(著):意思決定 decision-making, (馬場一雄,他編:看護MOOK18 看護過程), 金原出版, p.51-60, 1986.
2)印南一路(著):すぐれた意思決定―判断と選択の心理学,中央公論新社, 2002.
3)宮川公男(著):意思決定論―基礎とアプローチ, 中央経済社, 2010.