発達 development

発達とは、身体・心理・社会的側面をもつ統合体としての人間が一生を通して変化する過程であり、その変化の過程には高度の分化や複雑さ、機能の効率を獲得していくことに加え、構造と機能の減退を含む。
人間の発達は、受胎から始まり、に至るまで継続する。人間は、変化する過程を通して環境と影響し合い、様々な機能や構造の分化を通して、さらに統合されてより有能に、より複雑な存在になっていく。この機能や構造は、それぞれ異なった速度とパターンにより量的、質的な変化を遂げる。また、人間の発達は、遺伝的因子に加え環境的因子の影響を受けるため、個人差が生まれる。
発達には、成長や成熟、学習などの類似、関連用語がある。一般に、身長や体重など量的増大を示す形態的な変化を成長とよび、機能的な変化を発達とよぶことが多い。しかし、本来、形態と機能の変化は相互に関連しており、分離して考えることができないため、「成長と発達」のように2つの用語を並べて使用することも多い。また、成熟は、個々の器官や生体全体が形態的・機能的に完成に至るまでの過程をさし、学習は、同一または類似の状況が反復された結果として生じる比較的永続的な行動の変化過程をさす。これら成熟と学習は、発達に影響を及ぼす。
参考文献
1)舟島なをみ(著):看護のための人間発達学 第4版,医学書院,2011.
2)B. N. Newman, F.R. Newman(著)/福富護(訳):新版生涯発達心理学-エリクソンによる人間の一生とその可能性,川島書店,1988.
3)鯨岡峻(著):関係発達論の構築-間主観的アプローチによる,ミネルヴァ書房,1999.