看護学 discipline of nursing

学問とは、一定の原理によって説明し体系化された知識と、理論的に構成された研究方法などの全体を示すとともに、概念・判断・推理を用いた知的思考活動による真理の探究でもある。看護学は、主として人間環境・健康・看護をパラダイムとして、個人、家族地域社会に生起する健康にまつわる事象を概念化し、科学的な根拠に則って説明するとともに、判断と推論を用いて実践を説明する知識体系である。また、看護学は人文科学・社会科学・自然科学といった基礎科学に対置する、応用科学、いわゆる実学として位置づけられ、基礎科学の多彩な学問分野を学際的に応用することによって、すべての健康段階にある人間について包括的な理解を得ようとするものである。
このような看護学の発展に寄与するものとして、看護系学会の存在がある。これは、看護職者が自身の研究の成果を発表したり、看護職者同士が最新の情報を把握したりすることを通して、看護実践に還元される知識体系を蓄積していくものである。近年では、科学技術の発達により看護学の分野でも専門分化が進み、日本において看護学の学術的発展のために組織された日本看護系学会協議会には、2011年現在38の看護系学会が登録されており、看護学の体系化に向けた基盤が整備されつつある。
参考文献
1)ぺギー L. チン, メオーナ K. クレイマー(著)/川原由佳里(訳):看護学名著シリーズ チン&クレイマー 看護学の統合的な知の構築に向けて, エルゼビア・ジャパン, 2007.
2)Jan Reed, Ian Ground(著)/原信田実(訳):考える看護―ナースのための哲学入門, 医学書院, 2001.
3)Hesook Suzie Kim(著)/上鶴重美, 原田裕子(訳):看護学における理論思考の本質, 日本看護協会出版会, 2003.