家族 family

家族(family)とは様々に定義づけられた用語であり、それぞれの学問領域もしくは分野により多様な言説を有する。一般的には、家族は構造や機能、役割、勢力、関係性、システム、文化・民族学などの視点から捉えられ論じられている。
社会学者バージェス(E. W. Burgess)は家族の特徴を、①結婚、血縁、養子などによって結合され、②同居別居にかかわらず自らの世帯であるという認識があり、③家族内役割を担う家族成員同士の相互作用があり、④固有の家族文化を有する、と挙げている。しかし、現代の家族においては、これらの特徴では捉えきれない多様な家族像が見られる。
家族看護学者のフリードマン(M.M. Friedman)は、家族は相互に情緒的に巻き込まれ、物理的に近くで生活をしている人々からなると定義し、家族看護学者のハンソン(S.M. Harmon Hanson)らは、家族とはお互いに情緒的、物理的、経済的サポートを依存しあっている2人かそれ以上の人々のことであると定義づけている。
また、家族看護学では、家族は病者をケアする存在であるとともに、その家族自身も援助の対象となりうるひとつの有機体であると捉えられており、家族アセスメントや家族に対するナーシングインターベーションが開発されるなど、家族看護の視点独自の看護展開が積み重ねられている。
参考文献
1)Marilyn M. Friedman(著)/野嶋佐由美(監訳) :家族看護学―理論とアセスメント,へるす出版 ,1993.
2) Shirley May Harmon Hanson, Sheryl Thalman Boyd(著)/村田恵子, 津田紀子, 荒川靖子 (訳):家族看護学―理論・実践・研究,医学書院,2001.
3)鈴木和子, 渡辺裕子(著):家族看護学―理論と実践 第3版, 日本看護協会出版会, 2006.
4)野嶋佐由美(監),中野綾美(編):家族エンパワーメントをもたらす看護実践 , へるす出版, 2005.