人間 human being

人間とは、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな側面をもつ存在であり、それらが統合された生活体である。同時に、人間は、それを構成する部分の総和以上の存在であり、単なる総和と異なる特性を示す統一体である。
また、人間は、受胎・誕生・成長・成熟の過程を経て、やがてを迎える生命体である。この連続的な発達段階をたどる過程において、人間と環境は絶えず物質やエネルギーを交換し、作用し合いながら変化し続ける。
さらに、人間は、発達段階や職業などが異なったとしても生物体としての共通性をもつ。その一方、同じ年齢でも成長・発達の程度が異なったり、それぞれの社会・文化的背景の中で固有の感性や価値観、役割、関係をもったりするなど、他の人には代わることのできない個別性と独自性をもつ。これは、人間が尊厳ある存在であり、自分自身の価値ある生命を自覚しながら、より良い生き方を目指すという人格的自由をもち、自己を決定する能力をもつことを意味する。
人間は、個体を維持し子孫を残す営みをしている。人間の性が他の生物と決定的に異なる点は、性が単に生物的なものではなく精神的・社会的なものでもあることである。
参考文献
1)M. E. Rogers(著)/樋口康子,中西睦子(訳):ロジャーズ看護論,医学書院,1979.
2)松木光子(編):基礎看護学 看護学概論-看護とは・看護学とは 第3版,ヌーヴェルヒロカワ,2004.
3)田畑邦治,田中美恵子(編):哲学-看護と人間に向かう哲学,ヌーヴェルヒロカワ,2003.