人間関係 interpersonal relationship

家庭・学校・職場・地域社会などの場における個人対個人、および集団における心理的な関係をいう。
人は人間関係の中で育ち、性格を形成し、自己を成長させ、人間らしく発達させていく。また、両親から受け継いだ遺伝的な素質をもとに家庭や地域社会の中で養育され、仲間や友人と協力したり争ったりすることで、社会性を発達させる。
看護理論家で最初に人間関係に注目したヒルデガルド・ペプロウ(Hildegard E. Peplau)は、患者-看護師関係に焦点をあて、対人関係のプロセスの構造を記述する看護モデルを開発した。また、ヴァージニア・ヘンダーソン(Virginia Henderson)は、看護職者を「患者の基本的ニーズを充足する行動を専門的立場から援助するもの」と捉え、患者-看護師関係、看護師―医師関係、ヘルスケアの一員としての看護師のそれぞれの関係性の必要性を言及している。さらに、ジョイス・トラベルビー(Joyce Travelbee)は、人間人間の関係を看護の目的を成し遂げるための手段であるとし、「人間人間の関係は看護師と看護を受ける人が最初の出会い、同一性の出現、共感、同感という段階を経たあと、ラポールの段階に達したとき確立される」と説明している。
参考文献
1)斉藤勇(編):人間関係の心理学 第2版,誠信書房, 2007.
2)岡堂哲雄,鈴木志津枝(編):シリーズ患者・家族の心理と看護ケア(5) 危機的患者の心理と看護,中央法規出版,1987.
3)岡堂哲雄(編):ナースのための心理学4 人間関係論入門,金子書房,2000.