生活 life

生活とは、人間の生存そのものであり、各個体の主体的営みである。この営みには、生命維持に直結する呼吸・循環・体温や、生活リズムを作りだす運動・休息・食事排泄清潔・更衣、社会的活動としての遊びや学習を含む労働、地域社会における活動としての慣習、性差に応じた活動や環境が内包されている。その生活は、その人の価値観、習慣、考え方、暮らし方、生き方などによって形成される。また、生活にはその人にとっての意味があり、人は自分がおかれている状況に関与しながらその意味を見出している。その意味は、通常、意識下におかれがちであるが、何らかの体験が生活の支障として捉えられたときに意識化される。
看護の使命は、どのような健康状態であろうと、生活を営む人々が安心してその人らしく生活をすることができるように援助することである。生活の状態は心身の健康状態に影響を及ぼすので、その人の生活を総合的に捉え、よい健康状態を維持できるよう看護する。そのために、教育、職業、婚姻状態、食習慣、日常生活、一日の過ごし方などの情報のほかに、どのような生活を営んできたかなど、その人の生活史を把握することも重要である。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会, 1995
2)日本看護系大学協議会:21世紀に向けての看護職の教育に関する声明, 日本看護系大学協議会誌,1999.
3)Patricia Benner, Judith Wrubel(著)/難波卓志(訳):ベナー/ルーベル 現象学的人間論と看護, 医学書院, 1999.
4)中島紀惠子(著): 生活の場から看護を考える―看護概念の転換への提起, 医学書院, 1994.