看護 nursing

看護とは、個人、家族、集団、地域を対象として、その人々が本来もつ自然治癒力(健全さ、力)を発揮しやすいように環境を整え、健康の保持・増進、健康の回復、苦痛の緩和を図り、生涯を通してその人らしく生を全うすることができることを目的として、専門的知識・技術を用いて身体的・精神的・社会的に支援する働きである。看護のルーツは家庭や近隣における乳幼児、傷病者、高齢者の世話、つまり人々の生活におけるケアという営みにあり、フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)により近代職業の礎が築かれ、専門職へと発展してきた。日本では、1948年に保健師助産師看護師法が制定され、職業実践としての看護の定義、免許資格や業務が定められており、法的には同法に則り免許交付を受けた看護職が保健医療福祉の様々な場で行う実践ということになる。
医療の発展や社会の変化により看護の役割機能は拡大してきたが、その本質がケアにあることは変わらない。すなわち、看護の特質は看護の対象である人々の身近にあり、関心を寄せ関わることにより、苦痛や苦悩に気づき、人々の尊厳を守る人間的な配慮を行うことである。
その人を尊厳を守り、その人らしく生きていくことを支えるという看護の価値は、人間性を重視する社会になくてはならない価値であり、社会の基盤を支える価値である。
参考文献
1)菱沼典子,井上智子,武田利明,他(著):看護の原理―ケアすることの本質と魅力, ライフサポート社,2009.
2)田村やよひ(著):私たちの拠りところ保健師助産師看護師法, 日本看護協会出版会, 2008.
3)日本看護協会:看護にかかわる主要な用語の解説-概念的定義・歴史的変遷・社会的文脈,http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/2007/yougokaisetu.pdf<2011.5.19>