看護モデル nursing model

モデルとは、現実そのものではなく、現実を抽象化して再構築した型、すなわち現実の概念的表象である。また、ある現象の諸要素とそれら相互の関係を定式化して表す方式(装置)である。したがって、看護モデルとは理論開発の諸段階において、理論を構成する重要概念と概念間の関係を言語、図、数式などを用いて明確に示したものである。
看護モデルという用語については、メタ理論的な議論がなお続いている。そのため、看護界の中で必ずしも統一的な見解が得られているわけではないことに注意する必要がある。
看護概念モデルは、看護の目標、その受益者、そのほか、看護に関する重要な要素とその関係を示し、モデルの特徴に従って看護全体についての抽象ではあるが知的イメージを提供する。また、看護現象についての展望あるいは準拠枠を提供し、研究、実践、教育、管理のための一般的ガイドラインを導くことができる。このような看護概念モデルにおける概念や命題(概念間の関係)は、理論に比べると抽象的かつ一般的であり、現実世界において直接観察したり検証したりすることはできない。
現在、複数の看護モデルが誕生し、臨床や研究、教育の中で活用されており、看護モデルが看護学の発展の牽引ともなっている。
参考文献
1) Ruby L. Wesley (著)/小田正枝(監訳): 看護理論とモデル 第2版 ,へるす出版, 1998.
2)Jacqueline Fawcett(著)/小島操子, 小松浩子(訳):看護モデルの理解-分析と評価,医学書院,1990.
3)Lorrain M.Wright(著)/森山美知子(監訳):癒しのための家族看護モデル-病いと苦悩、スピリチュアリティ,医学書院,2005.