看護実践 nursing practice

看護実践とは、看護職看護を必要とする人々に働きかける行為であり、看護職の活動の主要な部分をなすものとして位置づけられる。その内容としては、看護の対象となる個人や家族、集団、地域社会を身体的、構神的、認知的、社会的側面から援助することである。それには、看護を必要とする人々を継続的に観察・判断して、問題を予知し、モニタリングする側面や、緊急事態に対して効果的な対応を行う危機対応の側面、医師の指示に基づいて医療行為を行い、その反応を観察していくための看護的判断といった側面などがある。
近年では、看護基礎教育や新人看護師教育において、看護実践能力の育成・向上に重点がおかれているが、看護実践能力の定義や概念は様々であり、統一されていない。看護実践能力の構成要素としては、例えば、スチウィンレン(P.M. Schwirian)によるリーダーシップ、クリティカルケア、教育・評価、計画・評価、人間関係コミュニケーション専門職発達の6側面や、ベナー(P.Benner)による 援助役割、指導/手ほどきの機能、診断機能と患者モニタリング機能、急変時の効果的な対応、治療処置の実施と観察、ケア実践のモニタリングと質の保障、組織化と役割遂行能力の7領域分類などがある。
また、国際看護師協会(ICN)は、看護実践を捉える枠組みとして、看護現象、看護活動、看護アウトカムの3分類体系からなる看護実践国際分類(ICNP)を紹介し、ICNPは、看護実践を記述するためのツールとして周知されている。
参考文献
1)Mariah Snyder(著)/尾崎フサ子,早川和生(訳):看護独自の介入―広がるサイエンスと技術 改訂新版, メディカ出版, 1996.
2)菱沼典子, 井上智子, 武田利明, 他(著):看護の原理―ケアすることの本質と魅力, ライフサポート社, 2009.
3)松木光子,小笠原知枝,久米弥寿子(編):看護理論―理論と実践のリンケージ―看護研究の成果に基づく理論を実践しよう, ヌーヴェルヒロカワ,2007.