看護記録 nursing record

看護記録とは、看護職者が行う記録であり、看護記録、助産録、指定訪問看護などの提供に関する諸記録がある。その思考と行為を示し、看護実践の一連の過程を記録したものである。基本的に、看護の対象となる人々に関する基礎情報、看護計画、経過記録、看護サマリーの4つの要素により構成される。
看護記録の目的および意義は次の7点である。①看護の実践を明示する、②提供す看護の根拠を示す、③医療チーム間、患者と看護職者の情報交換の手段となる、④患者の心身状態や病状、医療の提供の経過およびその結果に関する情報を提供する、⑤患者に生じた問題、必要とされた看護に対する看護実践と、患者の反応に関する情報を提供する、⑥施設がその設立要件や診療情報上の要件を満たしていることを証明する、⑦看護の評価や質向上および開発の資料となる。
看護記録は、2007年の「医療法」改正に伴い、2年間の保管が義務づけられ(医療法第21条第1項第9号、医療法施行規則第20条第10項)、助産録は、保健師助産師看護師法第42条により、5年間の保存が義務づけられている。このように、看護職者が行う記録は、診療録と同様に重要な証拠(書証)となるものである。情報開示などの近年の社会情勢も踏まえ、記録および用語の標準化や記載基準の明文化、記録の質の向上と情報の取り扱いに関する倫理教育などが必要である。
参考文献
1)日本看護協会(編):看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針,日本看護協会出版会,2005.
2)井部俊子,竹股喜代子(編):看護記録のゆくえ―「看護記録」から「患者記録」へ,日本看護協会出版会,2000.
3)黒江ゆり子(訳):看護記録をマスターする―実践の質的向上をめざして,医学書院,1998.
4)医療法改正の概要:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1105-2b.pdf<2011.5.19.>