パートナーシップ Partnership

用語の定義
パートナーシップとは、共通の課題をもったパートナーが、対等な信頼関係を基盤とし、相互理解をしながら合意形成し、相互協力の過程を共有するものである。その結果、互いの自己肯定感やQOLの改善、成長につながるものである。
*本定義は、患者(クライアント)と家族(パートナー)間のパートナーシップに関連した文献を中心に概念分析を行った結果に基づいている。

用語の解説
以下、高山ら(2016)の概念分析をもとに、解説する。
パートナーシップを構築するにあたり、お互いがパートナーとして認識している2人以上の人々がいて、共に取り組む課題やニーズ、共同作業があることが前提となる(高山ら,2016)。
パートナーシップの概念は、対等な信頼関係や相互理解、合意形成、相互協力、共有という要素で構成される(高山ら,2016)。パートナーシップでは、相互に尊重し、信頼し合う対等な信頼関係を基盤としている(宗像,2005)(橋口,2006)(岩上,2013)。そして、十分なコミュニケーションのもと(Bidmead,2008) (安永ら,2012)、自己理解・他者理解を含む相互理解を深め(Gottieb et al.,2006)(吉田ら,2013)(朝澤,2013)、話し合いや交渉をしながら共通目標を見出し(Gallant,2002)、合意形成をすること。共通目標に向かってお互いに連携・協働しながら(吉田ら,2013) (本田ら,2012) (今泉,2014)、共に進み支え合うこと(岡元ら,2014)が含まれている。パートナーシップが構築される過程では、お互いの感情(朝澤,2013)や意思決定(Leopold et al.,1996)を共有し、それぞれの能力を活用し合い(Gottieb et al.,2006)(鈴木ら,2009)、生じた結果は利益や効果だけでなく、リスクや責任といった側面も分かち合い共有する(Gallant et al.,2002) (吉本,2006)という考え方が含まれる。
パートナーシップを構築したり強化することで、お互いの能力が引き出され、自己への自信が感じられ、自己肯定感が高まったり、共通目標が達成されることで満足度やQOLが向上する(高山ら,2016)。さらに、個人の成長やパートナー間の関係性の発展が期待できる。
看護は患者や家族との援助関係を基盤とし、家族関係の支援や看護師間、多職種、地域や組織など様々な人々との関係性を構築しながら、お互いの成長や健康、QOL向上に寄与することが求められている。このような現代社会において、対等性な信頼関係を基盤とするパートナーシップは重要な概念である。

参考文献

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