患者-看護師関係 patient-nurse relationship

患者-看護師関係は、援助的な人間関係であり、看護実践の基盤として位置づけられ、患者と看護職者の相互作用によって発展していく。
ヒルデガルド・ペプロウ(Hildegard E. Peplau)は、患者-看護師関係について、両者がお互いを同等であるがまったく異なる人間として、また協働して問題を解決していく人間として、知り合い尊敬しあうようになるとき、看護は教育的・治療的なものになると述べ、「方向づけ」「同一化」「開拓利用」「問題解決」の4つの局面を示している。また、ジョイス・トラベルビー(Joyce Travelbee)は、患者と看護師をステレオタイプに捉え関わる場合と、お互いを独自な人間として関わる場合、すなわち人間人間の関係では、患者-看護師関係は異なってくる述べている。さらに、トラベルビーは患者-看護師関係の構築のプロセスを、互いをステレオタイプで捉える「初期の出会いの位相」から、「同一性出現の位相」「共感の位相」「同感の位相」へと発展し、最終的には、看護職者に対する信頼感が高まり、人間人間の関係になるとしている。すなわち、互いに独自性をもつ人間として尊重することを通して、健康問題の解決に向けて互いの役割や目標を明確にし、協働していくことが可能になると言えよう。
患者-看護師関係を効果的に構築するためには、看護職者は、看護の対象である人を理解しようとする気持ちをもち、その人に関心を寄せ、独自の人間として尊重するともに、両者が共通の目標に向かって進めるよう専門知識・技術を活用することが必要である。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会,1995.
2)Anita Werner O’Toole, Sheila Rouslin Welt(著)/池田明子 , 川口優子, 吉川初江 , 他 (訳):ペプロウ看護論―看護実践における対人関係理論, 医学書院, 1996.
3)Josephine G.Paterson, Loretta T.Zderad(著)/長谷川浩, 川野雅資(訳):ヒューマニスティックナーシング,医学書院,1983.
4)外口玉子 (著):人と場をつなぐケア―こころ病みつつ生きることへ, 医学書院, 2000.