プライバシー privacy

プライバシーは、秘密、聖域、独居、静謐、匿名などの要素を含むものであり、伝統的には、個人の私生活に関する事柄が他者の目に触れたり、他者から侵害・干渉されたりすることのない状態である。「一人にしておいてもらう権利」「個人情報を自らコントロールできる権利」「個人の秘密あるいは私的生活を守る権利」などのことをさし、物理的な状況や周囲との関係のもち方に関わる権利である。
看護においては、プライバシーの保護は、自己決定や自由意志の尊重、インフォームド・コンセントの遂行とともに、看護の基本原則の一つとして位置づけられている。看護援助技術におけるプライバシーの保護には、不必要な身体露出を避けることや個人空間を確保することなど、心身の安全安楽自立、個別性に配慮することなどが含まれている。また、看護援助技術という限られた側面だけでなく、医療の場では、看護の対象となる人々の生活背景や家族関係などの個人情報を扱うことも多く、近年の情報化社会の進展や個人の権利・尊厳に対する人々の価値観の変化や意識の向上などから、個人情報の保護としてのプライバシーへの配慮も重要である。看護職者は、看護援助技術を遂行する際はもちろん、看護実践全般にわたって専門職者としてプライバシーを守ることに対する全面的な責任を負っている。
参考文献
1)日本看護協会(編):看護記録および診療情報の取り扱いに関する指針,日本看護協会出版会,2005.
2)Verena Tschudin(著・編)/井部俊子(監):看護学名著シリーズ 境界を越える看護―倫理学へのアプローチ, エルゼビア・ジャパン, 2006.