専門職という用語は、その語源において「神の宣託(profess)」を受けた者を意味している。したがって、従来専門職と呼ばれる人々は、聖職者、大学教授、医師、法律家のように、神の仕事の代行者として神の意志を遂行することを使命とする職業であった。神の宣託としての専門職は、科学技術の発展とともに近代社会において、実証的な科学と技術を基盤とした近代の専門職へと転換していった。そして現代では、専門職は高い水準の能力を有し、専門的な知識や技術を維持・拡大する責任があり、利他主義、自律性、人間としての尊厳、専門職倫理、公平性などの価値観を基盤に専門的職業を行う者とされている。また、専門職は明確な職業的責務であるプロフェッショナリズムに基づき、誠実に社会に貢献することを第一義とする社会的に認知された職業である。
看護職は、患者の利益を一義的とする利他主義を基として、人々の健康を護り、人間・生活・社会に対する深い理解、人権を尊重する人間的成熟、広範な専門的知識・技術、的確な判断と行動力、責任感を必要とする専門職である。日本看護協会の「看護者の倫理綱領」では、専門職として引き受ける看護者の責任の範囲を社会に明示している。
参考文献
1)日本看護協会:看護者の倫理綱領, http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/rinri.html<2011.5.29.>
2)Donald A. Sch¨on(著)/佐藤学, 秋田喜代美(訳):専門家の知恵―反省的実践家は行為しながら考える, ゆみる出版 ,2001.
3)新千年紀のプロフェッショナリズム憲章(新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム, http://acpjc.naika.or.jp/jpnchap/chart3.html<2011.5.29.>
4)菱沼典子, 井上智子, 武田利明, 他(著):看護の原理―ケアすることの本質と魅力, ライフサポート社, 2009.