生活の質 / クオリティ・オブ・ライフ quality of life / QOL

一般的にクオリティとは「よい状態」のことである。クオリティ・オブ・ライフ(Quality of life、QOL)とは、生活(人生)の良い状態のことであり、個人が自分の生活(人生)に、いかに充実感や満足感をもっているかという認識である。
世界保健機関(WHO)では、クオリティ・オブ・ライフを、個人が生活する文化や価値観において個人の目標や期待、基準や関心との関わりから得られた、個人の認識に基づくものと定義している。それは、身体の健康、心理的状況、自立の程度、社会的関係、個人の信条、環境との関係性に影響されるとしている。
また、最近では、主観的ウェルビーイング(幸福、生活満足感、モラル、自尊感情、自己概念、首尾一貫感覚)もクオリティ・オブ・ライフと関連していると言われている。
クオリティ・オブ・ライフにおいて、個人の視点からみた健康度や、日常・社会生活の機能に焦点をあてたものを健康関連QOL(Health-related QOL)という。また、個人が人生において重要であると認識・期待していることはそれぞれ違っており、個人が重要と思っていることの達成感と満足感に焦点をあてたものをIQOL(Individualized QOL)という。
医療の分野では、従来は疾病の治癒をアウトカムとすることが多かったが、QOLもアウトカムの指標として重視されるようになっている。看護では、その人らしい生活の実現と達成感、QOLを念頭において、看護の対象となる人々を援助していくことが重要となる。
参考文献
1)A. Bowling:Measuring Health ; A Review of Quality of Life Measurement Scales 2nd edition, Buckingham, Open University Press, 1997.
2)P. Fayers , R. Hays (編):Assessing Quality of Life in Clinical Trials ;Methods and Practice 2nd edition, Oxford University Press, 2005.
3)池上直己, 下妻晃二郎, 福原俊一 , 他(編):臨床のためのQOL評価ハンドブック, 医学書院,2001.
4)日野原重明 (監):看護に活かすQOL評価, 中山書店, 2003.