セルフケア self care

セルフケアとは、ドロセア・オレム(Dorothea E. Orem)によると、人が生命や健康、そして幸福を維持していく上で自分のために活動を起こし、やり遂げることであると捉えている。セルフケア理論を構築したオレム(Orem, Dorothea E.)は、「セルフ」を、身体面だけでなく、心理面や精神面のニードを含めた全体としての人と捉え、「ケア」を、人が生命を維持し自分にとって正常なやり方を作り上げていくようにする活動全体と捉えている。また、レビン(L.S.Levin,によると、セルフケアは、指示された内容をいかにきちんと守れるかというコンプライアンスではなく、本人が自分で健康の必要性を感じて自ら行動を起こし、二次・三次医療ではない一次的な身近な資源を自分の意思で利用し、自分で健康を守ることができたと実感するセルフリライアンスの感覚が重要であるとしている。
セルフケアモデルは、セルフケア理論を用いて、看護の現象を実践に応用しやすい形に表現したものである。セルフケアモデルは、セルフケアニード(セルフケア要件)とセルフケア能力(エージェンシー)のバランスを示すモデルと、そのアンバランスの結果として起こるセルフケア不足の程度によって、看護ケアをどのレベルまで提供し、患者と看護職者がどのような役割を担い協働していくかを示す看護システムのモデルが使われてきた。セルフケアモデルは、各臨床領域で必要に応じて修正・改良しつつ、広く活用されている。
参考文献
1)Dorothea E. Orem (著)/小野寺杜紀 (訳):オレム看護論―看護実践における基本概念 第4版, 医学書院, 2005.
2)Connie M. Dennis (著)/小野寺杜紀 (訳):オレム看護論入門―セルフケア不足看護理論へのアプローチ, 医学書院, 1999.
3)Karen Glanz, Frances Marcus Lewis, Barbara K. Rimer (編)/曽根智史, 渡部基, 湯浅資之,他(訳) :健康行動と健康教育―理論、研究、実践, 医学書院, 2006.