スピリチュアリティ spirituality

スピリチュアリティとは、人間の尊厳や存在意義などを表現するものであり、人が、その人にとっての意味や価値、信念をどのように捉え、どう生きるかに関連するものである。霊性、魂、精神性などと訳されることもある。
スピリチュアリティは、信仰や宗教との関連の中で表現あるいは経験されることも多いが、これらにのみ限定されるものではない。スピリチュアリティは全ての人に存在するもので、超越した存在や神、、自然、先祖、縁、真理など、その人が至高のものとして、あるいは大切なものとして重んじるものとの間に感じるつながりから生まれる。このつながりの感覚は、イントラパーソナル(自身の内にあるものと)、インターパーソナル(他者と、または自然や社会、文化の中で)、そしてトランスパーソナル(目に見えないものや神、天、偉大な力などとの間で)に経験され得る。これらの経験を通じて愛や信念、希望、信頼、信仰、啓示、畏怖の念などが生じる中で、存在の意味や理由が見出されることがある。
スピリチュアリティは内面の安らぎや強さとして表れることもある。また、関連するものとしてスピリチュアルペイン(喪失感や不全感、自身の信条や希望からの乖離感、神から引き離された感覚、罪責感、悔悟の念などから生じる深い痛み、苦悩、魂の孤独)がある。
看護職者は、その人が重んじている価値や習慣を尊重し、その個人のスピリチュアルなニードが満たされるように支援する。
参考文献
1) 窪寺俊之:スピリチュアルケア学序説,三輪書店,2004.
2) エリザベス・ジョンストン・テイラー (著)/江本愛子, 江本新(監訳):スピリチュアルケア―看護のための理論・研究・実践,医学書院,2008.
3)田崎美弥子:スピリチュアルケアの潮流-研究・思想とケアをつなぐ WHO Quality of life調査におけるスピリチュアリティ,緩和ケア, 19(1),p.11-15,2009.