プライマリヘルスケアとは、世界保健機構(WHO)が採択した「すべての人に健康を」を目標とした世界的な健康戦略の基本理念である。この理念は、すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、住民の主体的な参加や自己決定権を基盤とするものであり、そのために地域住民を主体とし、人々の最も重要なニーズに応え、問題を住民自らの力で総合的にかつ平等に解決していく方法論・アプローチでもある。
プライマリヘルスケア実施のための5つの基本原則は、「公平/平等性」「地域共同体/住民の主体的参加」「予防重視」「適正技術」「複数の分野からの複合的/多角的アプローチの必要性」であり、プライマリヘルスケアの8つの基本的活動としては、「保健教育と予防」「食料供給と適切な栄養」「安全な水と衛生」「家族計画を含む母子保健」「主要な感染症の予防接種」「風土病の予防・対策」「日常的な病気治療とケガの手当て」「必須医薬品の供給」が挙げられている。日本では、この考えを受けて「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」(2000年)が制定された。
それに基づいて、現在、看護職者は、人々の健康を増進させ、病気を予防する活動をはじめ、障害や病気をもちながらも人生を豊かに暮らしていけるように、プライマリヘルスケアの重要な役割をになっている。
参考文献
1)松田正己,奥野ひろみ,菅原スミ, 他(編):変わりゆく世界と21世紀の地域健康づくり-やってみようプライマリヘルスケア 第3版,やどかり出版,2010.
2)日本家庭医療学会(著):新家庭医プライマリ・ケア医入門-地域で求められる医師をめざして,プリメド社,2010.