地域(コミュニティ) community

地域とは、①何らかの意味で共通の課題をもつ人々の集まり(共同性)、または②一定の地理的範囲において成り立っている共同生活のシステム(地域性)をいう。前者は家族、学校、職場、患者会、ボランティアグループなど帰属意識や連帯感をもつ人々であり、相互に認識し、何らかの相互作用をもち影響しあう。後者は、近隣、地区、市町村といった空間的広がりとしての「場」であり、健康に対して良い影響あるいは悪い影響を与える物理的・社会的環境である。また、個人では解決できない地域社会の問題解決など政治的活動も行う。
ケアの対象として地域を捉える場合には、共同性と地域性を併せもった集団をさしている場合が多く、地域の様々な場への支援、場を共有する人々への支援、地域の中の組織・人間関係・文化・価値観などに目を向けた包括的なとりくみが求められる。シャマンスキー(S.L.Shamansky)らは、地域を把握するための枠組みとして、①対象となる人々・関係者はだれか(who)、②その現象が起こっている空間と場所はどこか(where・when)、③コミュニティの機能(how)という3つの側面を提案している。
参考文献
1)Barbara Walton Spradley (編)/村嶋幸代,野地有子(訳):地域看護活動の方法-概念の明確化からアセスメント・施策化へ,医学書院,1998.
2)Elizabeth T. Anderson, Judith Mcfarlane(編)/金川克子,早川和生(監訳):コミュニティ アズ パートナー―地域看護学の理論と実際 第2版,医学書院,2007.
3)宮崎美砂子,北山三津子, 春山早苗,他(編):最新地域看護学,日本看護協会出版会,2010.