権利擁護 advocacy

権利擁護とは、一般に、擁護、代弁、支持という意味である。医療・福祉における権利擁護では、権利を侵害されやすい立場の人々の権利を保護・チェックする機能と、当事者の権利の行使と自律を支援する機能の側面をもつ。
保護・チェック機能としては、2000年に改正・名称変更された社会福祉法の成立以後、利用者保護の仕組みとして、苦情解決の仕組みや福祉サービスの第三者評価の導入、成年後見制度や消費者契約法など、様々な形で整備されてきている。
一方、権利の行使と自律を支援する機能では、治療法やサービスの選択などの場面において、看護の対象となる人々がもつ情報について理解を深め、自己決定を支援する。日本看護協会の「看護者の倫理綱領」第4条には、看護は人々の知る権利、自己決定する権利を尊重し、その権利を擁護すると謳われ、看護職にとって権利擁護は倫理的責務の一つとされている。
また、看護職者は、医療・福祉と患者の両方を理解できる立場にあり、かつ最も患者の身近で長時間接する者として、患者の思いや声をその人の立場に立って仲介する代弁者や自己決定の支援者として権利擁護の役割を果たすことが期待されている。
参考文献
1)日本看護協会(編):新版 看護者の基本的責務―定義・概念/基本法/倫理,日本看護協会出版会,2006.
2)Sara T. Fry,Megan‐Jane Johnstone(著)/片田範子,山本あい子(訳):看護実践の倫理―倫理的意思決定のためのガイド 第3版,日本看護協会出版会,2010.
3)石本傳江(企画・構成):特集 看護におけるアドボカシー,臨床看護,32(14)臨時増刊,2006.