感染管理とは、感染の制御と予防の2つの側面を含み、感染の現状把握(感染サーベイランス)、感染防止の方針作成、職員の感染防止活動、感染防止対策の評価などの一連のプログラムを作成しシステムを構築し、その活動や機能を制御・調整する取り組みである。
1990年代以降、新興感染症や再興感染症の発生、多剤耐性化の問題などの動向を受けて、わが国では1999年「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」が施行された。それ以後、感染防止対策は、診療報酬上で加算あるいは減算の対象として定められ、医療施設ではより積極的な感染防止対策が取られるようになってきている。
看護界では、日本看護協会が2004年「感染管理に関するガイドブック(改訂版)」を策定し、感染管理に関する考え方、感染対策の基本やケアに伴う感染防止策、部門別の感染防止策などを示している。
感染管理においては、感染対策チーム(Infection Control Team:ICT)による感染の早期発見と早期治療、感染経路遮断などの迅速な活動とともに、医療従事者全員が感染防止の基本的知識を十分に理解し、日常の感染防止対策(スタンダードプリコーションや感染経路別予防策など)を確実に実行することが重要である。
参考文献
1)日本看護協会:感染管理に関するガイドブック 改訂版,2004, http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/anzen/pdf/kansen_kaitei.pdf<2011.5.19.>
2)国立病院機構大阪医療センター感染対策委員会,ICHG研究会(編):新・院内感染予防対策ハンドブック,南江堂,2006.
3)菱沼典子,小松浩子(編):Evidence-Based Nursing看護実践の根拠を問う 第2版,南江堂,2007.