緩和ケア palliative care

緩和ケアとは、1970年代からカナダで提唱された概念で、死にゆく人々に全人的ケアを提供するホスピスケアの考え方の影響を受けている。世界保健機関(WHO)では、「緩和ケアとは生命を脅かす病気に直面している患者とその家族に対して、診断時から人生の最期のときまで、さらには悲嘆に対しても、痛みや症状からの解放を図り、霊的・心理社会的サポートを提供することで、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を改善することである」と定義され、病気の早期の段階から治療と並行して実施し、末期になるに従って緩和ケアの比重を大きくするという考え方がとられてきている。緩和ケアでは、死は自然な過程と捉え、早めたり引き延ばしたりせず、最期のときまでその人が人生を積極的に生きていけるように支え、死別後の家族生活適応も支えようとする。
緩和ケアはその提供形態によって、病院や病棟を中心とした施設緩和ケアと患者の自宅で提供する在宅緩和ケアに区分される。施設緩和ケアでは、診療報酬上の認可を受けた専門の緩和ケア病棟で提供される場合と、一般病院・病床に居ながら、専門家からなる緩和ケアチームによって提供される場合とがある。
参考文献
1) World Health Organization (WHO):Palliative care,http://www.who.int/cancer/palliative/en/ <2011.5.19.>
2)NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会:WHO(世界保健機関)の緩和ケアの定義(2002年) http://www.hpcj.org/what/definition.html<2011.5.19.>
3)鈴木志津枝,内布敦子(編):緩和・ターミナルケア看護論,ヌーヴェルヒロカワ,2005.