傾聴とは、相手に関心をもって、相手の話に注意深く耳を傾けることである。それは、相手が何を伝えようとしているのか、何を伝えていないのかを聴きとりながら、相手の自己表出を促していく行為である。傾聴することは、単なる言語的コミュニケーションの手段ではなく、人に共感し、人を受容するための最初のステップであり、信頼関係を築いていくための重要な行為である。
カール・ロジャース(C.Rogers)の言う積極的傾聴(アクティブリスニング)は、傾聴の仕方であり、聴く側の心構えである。その聴き方は相手の言葉に反応するのではなく、相手の感情に適切に応答することである。つまり、相手を指導したり、評価したり、自分の意見を納得させようとする聞き方ではなく、言葉そのものに表現されている意味や、言葉の裏に隠されている感情を含め全人的に理解しようする聴き方である。同時に、相手の存在を意識して、相手の呼吸や発声、表情、動作を感受しながら身体感覚レベルの情報を得ていることでもある。看護職者が患者との間で援助的関係を作り上げる最も有効な方法は、積極的傾聴の態度をとることである。
参考文献
1)鷲田清一(著):「聴く」ことの力―臨床哲学試論, 阪急コミュニケーションズ, 1999.
2)川野雅資 (著):傾聴とカウンセリング, 関西看護出版, 2004.
3)広瀬寛子(著):看護カウンセリング 第2版, 医学書院, 2003.