自己決定 self-determination

自己決定とは、自己の生命やライフスタイルなどについて、いくつかの選択肢の中から意図的に自分で決定することをいう。これは自分の願望や力を認識し、適切な方法を選び、判断し、様々な支援を得ながら自己の要求を具現化していくプロセスである。このプロセスは、個々人の背景に影響を受け、極めて個別的である。
医療においては、患者が自分自身の受ける医療について十分な説明を受け、理解、納得した上で自主的な判断によって最善と思える方法を選択、決定するという行為のプロセスとして、また自分自身の健康を維持・増進させるための自己管理を示す用語として用いられる。このように医療において自己決定が強調されるようになった背景には、医師にすべてをゆだねる「おまかせ医療」や「パターナリズムに基づいた医療」を改め、患者の権利、自由や自律する権利を尊重するという倫理的原則や考え方が根底にある。
看護職者は、十分な情報を提供し、相手の理解を確認しながらの説明、意思表示をしやすい環境調整などを行い、その人の意思を尊重し自己決定を支援する。
参考文献
1)高橋隆雄,八幡英幸(編):自己決定論のゆくえ―哲学・法学・医学の現場から,九州大学出版会,2008.
2)日本保健医療行動科学会(編):日本保健医療行動科学会年報 自己決定の行動科学,メジカルフレンド社,1996.
3)E.L. Deci(著)/石田梅男(訳):自己決定の心理学―内発的動機づけの鍵概念をめぐって ,誠信書房,1985.
4)日本看護協会:看護者の倫理綱領, http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/rinri/rinri.html<2011.5.19.>