クリティカルシンキング critical thinking

看護実践におけるクリティカルシンキングは、多様な健康上の問題を抱える人々が最高の看護を受けられるようにするために用いる技術であり、科学の原理と方法を基盤に、憶測ではなく証拠(事実)を基に判断を下す思考、探究的態度、経験などに基づいている。
クリティカルシンキングとは、能動的、系統的な認識の過程であり、自分や他者の考えを注意深く検証するために用いられるもので、問題の存在を認識し、その問題に関連する情報を探索・分析し、推測や証拠も活用しながらその情報を評価し、結論を導き出すことが含まれる。クリティカルシンキングの技術として、解釈、分析、推論、評価、説明、自己規制が挙げられる。そして、クリティカルシンキングを用いるためには、真実の探索、偏見をもたない開かれた心、分析性、組織性、自信、知的好奇心、成熟といった概念が必要である。すなわち、効果的にクリティカルシンキングを用いる人は、問題に直面したとき、安易に一つの解決策に飛びつくのではなく、問いかけ続ける姿勢と最新の情報を受け入れる力をもっており、どうすればよいか、どう考えればよいかということの選択肢に焦点を当てる。
看護を提供することは、正確で適切な臨床上の意思決定を行う責任を負うことである。意思決定は、問題の解決に焦点を当てたクリティカルシンキングの結果として生まれるものであり、クリティカルシンキングは、看護職としての実践において重要かつ不可欠である。
参考文献
1)Patricia A. Potter, Anne Griffin Perry(著)/井部俊子(監):看護学名著シリーズ ポッター&ペリー看護の基礎―実践に不可欠な知識と技術, エルゼビア・ジャパン, 2007.
2)Rosalinda Alfaro‐LeFevre (著)/ 田原勇, 江本愛子, 牧本清子,他(訳):アルファロ 看護場面のクリティカルシンキング,医学書院,1996.