調和 harmony

用語の定義
調和とは、人が、人生において脅かされる状況やコントロール感を失う状況に直面した時に、自己や自己を取り巻く環境の影響を受けながら、自分の枠を拡げ、自己リズムを創出し、新たな状況に置かれた自己や環境と融合することで、心地よさを感じている状態をさす。

用語の解説
調和は、東洋と西洋それぞれ独自の文化から発見された概念である。日本では聖徳太子が、調和を「和」と捉え「十七条の憲法」で「和を以て貴しと為す」と提言し、基本的な価値観の1つとしても捉えられている。
調和(岡西・藤田,2020)は「自分の枠の拡張、自己リズムの創出、自己と環境との融合、心地よさ」の4つの属性をもつ。「自分の枠の拡張」とは、置かれた状況にとらわれず、自分の思考や価値観を変容させ、その状況に対する意味を見出し、良い方向に考えていくことを表わす。「自己リズムの創出」とは、新たな状況の中で揺るぎない日常を送るために、これまでの自分らしさを基盤にしながら今の自分に合った方法を見出し対処していくことを表わす。「自己と環境との融合」とは、新たな状況が自分の中に溶け込み、上手く対処している自分を新しい自分として認識する状態を表わす。「心地よさ」とは、置かれた状況に対して心身ともに穏やかで満ち足りた癒しの感覚をもつ状態を表わす。
調和は、その人がもつ内なる力、その人にとって支えとなる人や拠り所の存在、その人を取り巻く環境という自己・他者・環境との相互作用の中で生まれる特徴があり、またその意味も状態を示すだけではなくプロセスを含む概念である。
人は、人生において直面した困難や苦悩などの新たな状況に対して意味を見出し、自分の思考や価値観を良い方向へ変容させようとする。また、新たな状況の中でも以前の自分らしさを大切にしながら今の自分にできる方法を見出して安定を図ろうとする。そのなかで、新たな状況が自分の中に溶け込み一体化する自分を認識できることで、心地よさという癒しの感覚をもつようになる。調和は、生きる力、健康、成長につながり、看護はこの状態を促進する役割を担っていく必要がある。

参考文献
1)岡西幸恵,藤田佐和 (2020): 調和の概念分析~がんサバイバーへの看護実践・研究における概念活用の有用性~, 高知女子大学看護学会誌, 45(2), 1-14.
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