患者・患児とは、病気や外傷など、何らかの健康障害のために病院や診療所などの医療機関を受診する、あるいは医師・歯科医師、看護師など医療従事者の訪問を受け、診断・治療や看護などを受ける者をいう。患者という用語は、個人をさす場合だけでなく、糖尿病患者やがん患者などのように特定の疾患をもつ患者集団を表す場合もある。また、一般的に成人期に該当するこれらの人々を患者と称し、小児期に該当するこれらの人々を患児と称することが多い。
「患」は、病気・傷を意味する。また、英語の「patient」は、「patience」を語源とし、耐えている人という意味をもつ。すなわち、日本語の「患」は病気や傷があるという事実をさし、英語はその苦痛に耐えているという主観的体験をさす。従来、医療・看護が必要ならば権威者が施すという考え方があったため、患者という用語には、病む人の非人格化を伴っていた。しかし現在、医療従事者と患者は情報を共有し、共に疾病を克服するという関係に変化している。また、医療・看護の対象は、病気や外傷をもつ人に限られないため、保健医療福祉の従事者は、医療や看護を受ける人の意思を尊重するという考え方に立ち、患者のみならずクライエント、利用者、障害者、子ども、小児、入院児、病児など多様な呼び方を用いている。
参考文献
1)日本看護協会:看護にかかわる主要な用語の解説-概念的定義・歴史的変遷・社会的文脈, http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/2007/yougokaisetu.pdf<2011.5.19>
2)氏家幸子(監):母子看護学 小児看護学 第2版, 廣川書店, 2007.
3)アメリカ看護師協会(ANA);上泉和子監訳:看護実践基準-専門職業務遂行基準,インターナショナル ナーシング レビュー,29(3),p.28-38,2006.