看護におけるフィジカル・アセスメントとは、全身の状態を系統別に把握し、その情報を整理、分析して、状態が正常であるのか、正常から逸脱しているのか、予測される問題はないかなどを判断することである。問診から得られた主観的情報と、視診、触診、打診、聴診から得られた客観的情報が必要である。人体の解剖・生理学的知識、病態生理学的な知識は、的確な情報収集とアセスメントを行う上で重要である。常時、全身のアセスメントが必要なわけではなく、身体・精神状況に応じて優先度を考慮して行う。フィジカル・アセスメントは、北米(アメリカ、カナダ)において看護職の役割拡大による必要性から始まり、1970年代から大学・大学院で教育が開始された。わが国においては、1990年代半ばから大学教育に導入され、今日では看護の現場において活用されている。
フィジカル・アセスメントに対して、身体のみならず、心理的、社会的な側面をも看護アセスメントするヘルス・アセスメントがある。ヘルス・アセスメントには、身体的、心理的、社会的なwell-being(満足のいく状態、安寧、幸福など)が含まれる。
参考文献
1)山内豊明 (著):フィジカルアセスメントガイドブック―目と手と耳でここまでわかる, 医学書院 ,2005.
2)日野原重明 (編):フィジカルアセスメント―ナースに必要な診断の知識と技術 第4版, 医学書院, 2006.
3)小野田千枝子(監):実践!フィジカル・アセスメント-看護者としての基礎技術,金原出版,2008.