身体像 body image

身体像とは、自分の身体全体あるいは身体部分の空間的関係に対する自己イメージをいう。そのイメージを成立させるには、意識下に自分の身体についてもつ表象または空間的イメージ(身体図式)の働きがあり、身体図式が意識化されると身体像になる。よって、身体像と身体図式が同義語であるとの考え方もある。身体像は自分の身体に関連する知覚と経験によって形成され、人はそれぞれ自分自身の身体像をもっている。また、身体像は、固定化したものではなく、身体そのものが受ける様々な影響によって変動する。加齢、手術(乳房摘出、子宮摘出、喉頭摘出、人工肛門造設、臓器移植など)、事故や疾患などの機能障害(麻痺、火傷、切断など)による身体の形態・機能の変化や喪失は、身体像に変化をもたらす。その変化は、年齢、教育、生活環境、サポート体制、価値、対処能力などによって個人差も大きく、その変化を修正するには時間も費用も要する。身体像は自己概念を形成する一つの要素でもあるため、看護職者はボディイメージの再構築や修正に向けて援助を行う。
参考文献
1)Mave Salter(著)/前川厚子 (訳):ボディ・イメージと看護, 医学書院, 1992.
2)波平恵美子(著):からだの文化人類学-変貌する日本人の身体観,大修館書店,2005.
3)松木光子, 小笠原知枝, 久米弥寿子(編):看護理論―理論と実践のリンケージ-看護研究の成果に基づく理論を実践しよう, ヌーヴェルヒロカワ, 2006.