エビデンス・ベースド・ナーシング(以下、EBN)は、直観や経験に基づいた看護から、科学的根拠や研究結果に基づいた看護へと、すなわち臨床の根拠を見直そうという動きである。
EBNは、「科学的根拠に基づく看護」あるいは「根拠に基づく看護」と訳され、医学領域でのEvidence Based Medicine(EBM)に由来する。また、専門領域を問わず、多職種による学際的な取り組みを背景とするEBP(Evidence Based Practice)という用語も広く活用されるようになっている。これらの用語は、科学的根拠を学問的に研究することよりも、研究結果を用いて実践を遂行することを重視している点において共通性がある。
EBNの基本的な考え方は、患者をケアするときに、研究から得られる最善のエビデンスを、看護の専門的知識を用いて判断し、その患者に対して良心的にかつ思慮深く使っていくことである。また、この考え方は、①そのときに利用可能な最善の研究結果としてのエビデンスを看護に適用すること、②患者の意向を尊重すること、③臨床の専門的知識を用いて研究成果を看護に適用するか否か判断を行うこと、④資源の利用可能性、の4要素を統合し、その時代の最善のケアを提供することを重視している。
EBNの実施にあたり重要なことは、患者一人ひとりの価値観を最大限に尊重することであり、説明を受けた上で、患者が自己決定する機会を保障されることともいえる。
参考文献
1)日野原重明(監):基本からわかるEBN, 医学書院, 2001.
2)阿部俊子(監):看護実践のためのEBN―ベストエビデンスへの手引, 中央法規出版, 2001.
3)菱沼典子,小松浩子(編):Evidence-Based Nursing看護実践の根拠を問う 第2版, 南江堂, 2007.
4)深井喜代子(監):実践へのフィードバックで活かす―ケア技術のエビデンス,へるす出版,2006.