インフォームド・コンセント informed consent

インフォームド・コンセントとは、患者あるいは被験者が、治療や看護、または研究について十分な情報を得て、それらを理解し同意した上で、保健医療従事者に治療やケアの権限を委ねること、または研究者に研究参加の承諾を与えることをいう。このように、インフォームド・コンセントは、医療者や研究者が必要な情報を提供すること以上に、患者や被験者の自己決定権を高めるプロセスと捉えることができる。
ルース・フェイドン(Ruth R.Faden)らは、インフォームド・コンセントの要素として、①開示、②理解、③自発性、④能力、⑤同意を挙げている。患者や被験者が自発的に意思決定をすることがインフォームド・コンセントの基本であり、医療者や研究者は、自律、善行、無危害、正義、誠実、忠誠の倫理的な基本原則を遵守して、患者や被験者の意思決定を支援しなければならない。また、意思決定の支援には、患者や被験者が意思決定する能力を有していることの判断や、コミュニケーションが重要とされる。そのために、場の雰囲気づくり、患者家族と関わり合う時間の確保などのサポート体制が必要である。
インフォームド・コンセントの類似概念としてインフォームド・アセントがある。これは7~15歳未満(14歳)の子どもや知的ハンディキャップの子どもに対して用いられている。

参考文献
1)日本看護協会(監):新版 看護者の基本的責務―定義・概念/基本法/倫理, 日本看護協会出版会,2006.
2)Dolores Dooley, Joan McCarthy(著)/坂川雅子(訳):看護倫理 1, みすず書房, 2006.
3)吉武久美子(著):医療倫理と合意形成―治療・ケアの現場での意思決定, 東信堂, 2007.
4)Ruth R. Faden, Tom L. Beauchamp (著)/酒井忠昭,秦洋一(訳):インフォームド・コンセント―患者の選択,みすず書房,1994.