ライフサイクル life cycle

ライフサイクルとは、生命体の一生において、規則的に繰り返される一定の周期をいう。
人のライフサイクルとは、誕生からまでの一連の過程における発達段階の順序や、世代の循環をさす。人のライフサイクルはしばしば季節にたとえられ、成長の段階である小児期・思春期は春、成熟期は夏、中年期(更年期)は秋、そして衰退期を迎える老年期は冬とされてきた。精神分析家で発達心理学者のエリク・エリクソン(E.H.Erikson)らが、その著『ライフサイクル、その完結』で取り上げてから、この言葉は、広く一般に浸透するようになった。なお、エリクソンは、人間の自我という側面に焦点を当てて人生を8つの段階(乳児期、幼児期前期、乳児期後期、児童期、青年期、成人期初期、壮年期、老年期)に分け、各段階にはそれぞれで解決すべき課題(発達課題)があり、前段階の発達課題は次段階の発達段階の基礎となるという心理、社会的発達段階を示した。
一方、具体的な人生の特徴を示すライフコースおよび命の長さを表すライフスパンは、個々の人の生き方に注目した用語であり、世代を含まない点において、ライフサイクルとは異なる概念である。
参考文献
1)Erik H. Erikson, Joan M. Erikson(著)/村瀬孝雄, 近藤邦夫(訳):ライフサイクル、その完結 増補版, みすず出版, 2001.
2)Paul Tournier(著)/三浦安子(訳):人生の四季―発展と成熟,日本基督教団出版局, 2007.
3)馬場礼子, 永井撤(編):ライフサイクルの臨床心理学, 培風館, 1997.