リスク・マネジメント risk management

リスク(危険)とは障害の原因(ハザード)または障害を悪化・増幅させる原因のことであり、リスク・マネジメントとは、リスクの状況を正確に見定め、継続的な改善プロセスを踏まえながら様々な危険因子を管理していくことである。
医療のリスク・マネジメントは、発生した医療ミスや医療事故への対応に限らず、保健医療従事者、患者家族の損失を最小限におさえ、その発生を防止することに重点がおかれている。医療のリスク・マネジメントは、医療の質を保証するための一連のプロセス、すなわちリスクの把握、分析、回避計画・防止計画の立案と実施、評価からなる。
看護のリスク・マネジメントは、施設の関連部門と連携をとりながら、患者家族、来院者、職員の安全を守り、危険を回避することである。看護実践の場で起こりうる具体的なリスクには、転倒・転落、誤薬、患者の誤認、針刺し事故、院内感染、暴力、盗難、災害などが挙げられる。これらのリスクを適切にマネジメントするために、看護職者への教育・研修、マニュアルの作成、労働環境の整備、他部門・他職種との確認システムの構築、インシデントの収集、リスク・マネジメント委員会の設置などの取り組みが行われている。リスク・マネジメントは、看護の質とともに医療の質の保証に欠かせないことである。
参考文献
1)嶋森好子(編):ヒヤリハットや事故事例の分析による―医療安全対策ガイドライン,じほう,2007.
2)日本リスクマネジメント協会(編):医療現場シリーズ(3) 医療現場の安全管理とリスクマネジメント,同友館,2004.
3)坂田三允(編):精神看護エクスペール リスクマネジメント 第2版, 中山書店,2009.