看護過程 nursing process

看護の知識体系と経験に基づいて、人々の健康上の問題を見極め、最適かつ個別的な看護を提供するための組織的・系統的な看護実践 方法の一つであり、看護理論看護モデル看護実践 へつなぐ方法である。看護過程は、5つのステップ(アセスメント看護診断[問題の明確化]、計画立案、実施、評価)に分けられている場合が多く、これらのステップは互いに関連して動的に循環しらせん状に進み、「評価」に基づいて再び次の「アセスメント」へとつながっている。また、看護過程は、看護の対象となる人々と看護実践 者との対人的関係の中で成立し、展開するものである。すなわち、看護過程は、対人的援助関係の過程を基盤として、看護の目標を達成するための科学的な問題解決法を応用した思考過程の筋道である。
看護過程を活用して看護を展開するためには、次に示す能力や技能を必要とする。その能力とは、問題に気づく能力、問題を同定するための批判的思考能力や意思決定能力、問題解決策の考案に向けた柔軟な創造的思考などの多様な思考力(知的技能)、聴く能力・伝える能力、情報収集する能力などの人間関係の技能、特定の結果や望ましい行動反応をもたらすための方法を展開する技術的技能、看護の対象となる人々の心情を感じ取り、気遣いを行うケアリングの能力である。
参考文献
1)R.Alfaro-LeFevre(著)/江本愛子(監訳):基本から学ぶ看護過程と看護診断 第6版,医学書院,2008.
2)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会, p.50,1995.
3)H. Yura , M. B.Walsh/岩井郁子,他(訳):看護過程-ナーシング・プロセス・アセスメント・計画立案・実施・評価 第2版,p.180-181,医学書院,1986.