安全とは、危険のない状態をいい、看護を提供する際の必須要件である。安全は、看護職者の意図的な活動と組織的な活動とによって確保される。
安全の維持・確保を目指す組織的な活動を安全管理という。安全管理には、保健医療(福祉)機関全体で危険を予測し、調査し、事前に事故を防ぐ体制を構築する段階と起きてしまった事故への対策を考える段階がある。また、安全は、患者やその家族、面会者、医療従事者など複数の人々の安全意識の向上と確立とともに、安全管理基準に基づき保健医療従事者の安全を守る対策を整えることが必要である。
看護職者は、安全を確保するために、法的責任のみならず、安全と人権を保障するという倫理的責任を負う。このような責任を果たすべく、看護職者は、家庭、地域、学校、職場などの生活環境や、病院、施設など保健医療福祉の場において、常に安全を阻害する要因を観察・予測し、傷害、有害事象、事故、感染などが起こらないよう対処する。また、看護職者自身も、感染、放射線被曝、生体リズムの乱れなどの多様なリスクを抱えており、看護の対象となる人々のみならず、自身の安全を守ることも重要な責務である。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会, p.6,1995.
2)中西睦子(編):看護サービス管理,医学書院,2007.
3)村島さい子 , 他(編):ナーシング・グラフィカ⑳基礎看護学-看護管理,メディカ出版,2006.