療養上の世話 assist of activities of daily living life

療養上の世話とは、診療の補助(「診療の補助」の項参照)とともに保健師助産師看護師法第5条・第6条に規定された看護師・准看護師の業務である。この法律において、看護師とは、「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と規定されている。
療養上の世話は、療養中の患者に対して、病状の観察をしながら食事排泄、更衣、清潔の保持、移動、活動と休息、環境整備などの日常生活に対する援助であり、看護師の臨床的判断により実施される。療養上の世話は、患者が受けている生活行動の制約や制限に対して、自立に向けた援助として行われる。診療の補助が医師の指示を必要とするのに対して、療養上の世話は、行政解釈からすれば医師による指示を必要としない。しかしながら、その実施には、治療方針との整合性を必要とし、食事形態や安静度、清潔保持の方法などの決定や変更について、医師の意見を求めることもある。看護職には、患者に最適な療養上の世話を実施するために、医師の意見を求めるべきかどうかの判断も含め、病態や治療に関する医学的知識に基づいた適切な判断と技術が求められる。
参考文献
1)保健師助産師看護師法60年史編纂委員会(編):保健師助産師看護師法60年史-看護行政の歩みと看護の発展,日本看護協会出版会,2009.
2)田村やよひ(著):私たちの拠りどころ保健師助産師看護師法,日本看護協会出版会,2008.