食事 eating

食事とは、生存に必要な栄養分をとるために、毎日の習慣として物を食べること、またその食物をいう。食事は社会的・経済的要因や文化、個人および家族発達段階、価値観などから影響を受け、そのありようは多様である。また、人間にとっての基本的欲求の一つであり、身体活動に必要なエネルギーの供給や身体組織の維持・修復、人間が成長・発達し健康を維持・増進するための栄養交換という生理的意義、おいしく食べられることで新たな活力や生きる意欲をもてるという心理的意義、コミュニケーションの場を提供し交流の媒介的役割を果たすという文化的意義とともに、社会的なルールやマナーを学ぶという社会的意義など、多面的な意義をもっている。生活行動としての「食べること」には、食欲を感じること、食物を口に入れること、食物を咀嚼し嚥下すること、身体の中で消化・吸収することまで、人体の様々な器官と機能が関与している。
看護職者は、単なるエネルギー供給として食事を理解するのではなく、人体の構造・機能の視点から食行動全体を捉えるとともに、心理的側面や社会文化的側面からも多面的に食事を理解し支援を行うことが必要である。
参考文献
1)菱沼典子(著):看護形態機能学―生活行動からみるからだ 改訂版,日本看護協会出版会,2006.
2)Karen Holland, Jackie Solomon, Jane Jenkins,他(編)/川島みどり監訳:ローパー・ローガン・ティアニーによる生活行動看護モデルの展開,エルゼビア・ジャパン,2006.
3)伏木亨(著):人間は脳で食べている,筑摩書房,2005.