自立とは、他者への依存や従属から離れ、自らの力で日常生活や社会生活が営めることをいう。これには、生活的自立、経済的自立、精神的自立の側面がある。生活的自立は日常生活行動の自立であり、経済的自立は自ら収入を得て生活を維持していくことである。精神的自立については明確な概念規定がないが、他者の力を借りず自分で意思決定でき、それに対して責任をもつ態度が主要な要素とされる。
成長発達過程において、人は始めから自立した存在ではないが、段階的に養育者から独立していき、成人期には自立した存在であることが期待される。自立は、自己決定と決定したことの遂行における自己管理能力によって成立する。健康障害時には日常生活行動が制限されたり心理的依存が生じたりするため、自立のレベルが低下しやすい。また、自立は、健康障害により日常生活に他者の援助を必要とすることとなった人のリハビリテーションや看護の目標となる。
類義語の「自律(autonomy)」は、「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」をいい、区別して用いられる。(「自律」の項参照)
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会,1995.
2)Virginia Henderson(著)/湯槇ます,小玉香津子(訳):看護の基本となるもの 新装版,日本看護協会出版会,2006.
3)障害者自立支援六法編集委員会(編):障害者自立支援六法 平成22年版,中央法規出版,2010.