症状マネジメント symptom management

症状マネジメントとは、患者の生活の質(quality of life; QOL)を高めるために、患者の生活に影響を及ぼす症状と、それによる苦痛を緩和・除去することをさす。
症状は生理的・心理的・社会的機能や感覚、認知の変化を反映した主観的体験であり、症状マネジメントにおいて看護職は、まず患者の抱える症状を理解し、症状の機序と現れ方を理解するとともに、症状をどのように体験しているかを理解する。その上で、症状・苦痛の緩和のための専門的援助を提供するとともに、患者自身が主体的に症状を緩和・除去できるよう情報提供や心理的サポートを行い、セルフケアが高まるよう支援する。また看護職は、症状マネジメントの過程と結果の評価を行う役割をもつ。症状への対処方略としては、食事療法、運動療法、薬物療法、精神療法、外科的治療、リラクゼーション、ストレスマネジメントなどが挙げられ、経過と状況に応じて対処方略を評価・変更する。
症状マネジメントには、患者自身が主体となって症状に対処することと、援助者や周囲の人々が対処することの双方が含まれ、看護職は患者・家族・他の専門職との連携のもと、症状が患者の生活全般にもたらす事柄の改善・維持を目指す。
参考文献
1)和泉成子:看護師による症状マネジメントモデル─がん患者を主体とした症状体験の理解と看護師の方略,看護研究,39(3),p.167-179,2006.
2)UCSF症状マネジメント教員グループ:症状マネジメントのためのモデル,インターナショナル ナーシング レビュー,20(4),p.22-28,1997.
3)パトリシア・ラーソン:症状マネジメント:看護婦の役割と責任,インターナショナル ナーシング レビュー,20(4),p.29-37,1997.