看護診断 nursing diagnosis

看護診断とは、看護職者の実践によって扱うことが可能で、かつ扱うことが認められている患者の顕在的ないし潜在的な健康上の問題の表明であり、1970年代からアメリカの専門職団体や看護理論家によって、看護診断が特定化され定義づけられている。当初は、医学診断と混乱されて論争を呼んだが、その後、看護看護過程過程の一つの重要な段階として考えられるようになった。
看護診断の定義は多様であり、そのうち、北米看護診断協会(NANDA)による定義が、現在、わが国で最も広く受け入れられている。NANDAは、看護診断を「実在または潜在する健康問題/生活過程に対する個人・家族地域社会の反応についての臨床判断である。看護診断は、看護師に責務のある目標を達成するための決定的な治療の根拠を提供する」と定義している。
医学診断は、医師が主要な治療を管理する問題の記述であるのに対して、看護診断は、看護独自の看護実践の範囲内で看護職者が責任をもって援助する健康問題の記述である。
共通言語としての看護診断用語の開発は、NANDAを中心に行われており、世界各国で翻訳され活用されている。臨床の中で活用され、継続的に検証が重ねられており、なお開発の途上にある。
参考文献
1)T.Heather Herdman (編)/中木高夫,日本看護診断学会 (訳):NANDA‐I看護診断 定義と分類〈2009‐2011〉, 医学書院, 2009.
2)黒田裕子(監):看護診断のためのよくわかる中範囲理論, 学習研究社, 2009.
3)Lynda Juall Carpenito‐Moyet(編)/新道幸恵(訳):カルペニート看護診断マニュアル 第4版,医学書院,2008.