看護技術とは、看護の問題を解決するために、看護の対象となる人々の安全・安楽を保証しながら、看護の専門的知識に基づいて提供される技であり、またその体系をさす。看護技術は、目的と根拠をもって提供されるものであり、根拠に基づく専門的知識は熟練・修練により獲得され、伝達される。また、看護技術は、個別性をもった人間対人間の関わりの中で用いられるものであり、そのときの状況(context)の中で創造的に提供される。
看護技術は様々に分類されており、例えば「看護過程を展開する技術」「対人関係の技術」「生活援助技術」「診療に伴う援助技術」、「身体ケアを提供する技術」「認知・情動へ働きかける技術」「環境に働きかける技術」などに類別されている。
「看護過程を展開する能力」は、患者の状況をアセスメントする能力、療養上の問題を抽出する能力、問題に対する看護援助の計画を立て実行する能力、批判的思考力などを含み、看護技術を系統的に提供する上で重要な能力である。「対人関係の技術」は、相手の感情や思考を捉え自分の感情や思考を伝える能力、他者との関係を築き調整する能力などを含み、人間対人間の関わりを通じて提供される看護の基盤となる。そして、「生活援助技術」は、清潔・摂食・排泄・運動などの日常生活行動を援助する技術、「診療に伴う援助技術」は手術・検査など診療・医療処置に伴う援助技術を含み、共に直接的な看護の基礎となる。
参考文献
1)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会(編):看護学学術用語,日本看護科学学会第4期学術用語検討委員会,p.9, 1995.
2)Patricia A. Potter, Anne Griffin Perry(著)/井部俊子(監):看護学名著シリーズ ポッター&ペリー看護の基礎―実践に不可欠な知識と技術, エルゼビア・ジャパン, 2007.
3)深井喜代子(編):実践へのフィードバックで活かすーケア技術のエビデンスII ,へるす出版,2006.
4)川島みどり(著): 看護技術の基礎理論, ライフサポ-ト社, 2010.